日本のエンタメ界は、ドラマ・映画では最近韓流に押され気味ですが、漫画・アニメの世界では確固とした地位を維持。
その漫画・アニメの世界で浜松市がなかなかの存在感を発揮しているのはご存知でしょうか?
「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2022年版)」に、浜松市が『ゆるキャン△』と『エヴァンゲリオン』の作品で選ばれていますが、一つの都市で二つのアニメ聖地が認定されているのは中部地方では浜松市だけだそうです。
調べてみると他にも浜松市が漫画の舞台となっているものはけっこうあります。
二年前から「モーニング」で連載が始まった『焼いてるふたり』もその一つ。
浜松市が舞台となったきっかけは「雑誌社の副編集長が浜松を気にいったから」だそう。
このエピソードを含め、浜松市の漫画アニメ事情についてご紹介します。
「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2022年版)」に『ゆるキャン△』と『エヴァンゲリオン』の浜松市認定
アニメの舞台となった場所などを訪ねる「アニメ聖地巡礼」は「ユーキャン流行語大賞」(2016年)のトップ10に選ばれるなど、一つの社会現象となっています。
アニメツーリズム協会はアニメファン対象に「アニメ聖地 WEB 投票」を行い、その結果をもとに聖地を選定しています。
この2022年版に浜松市が『ゆるキャン△』と『エヴァンゲリオン』により選ばれています。
『ゆるキャン△』の作者は浜松市出身、浜松も舞台に
『ゆるキャン△』の作者、「あfろ」さんは浜松市出身、山梨県甲府市在住。
作品は女子高校生たちのゆるやかな日常を描きながら、キャンプ場でのリクリエーションや野外調理などといったアウトドアの魅力を伝えるもの。
主人公は静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生「各務原なでしこ」。
山梨県周辺が舞台ですが、なでしこの故郷として浜松市も頻繁に登場します。
砂浜や温泉でくつろいだ後、夕景を見た印象的な場所として描かれた弁天島海浜公園には『ゆるキャン△』のPRパネルも複数設置、今回の聖地認定もされています。
『エヴァンゲリオン』シリーズでは「天竜二俣駅」が聖地
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の「第三村」は、天竜浜名湖鉄道(天浜線)にある「天竜二俣駅」がモチーフとなっていて、ここが聖地に認定されています。
80年以上の歴史の天浜線、駅舎や沿線など日本の原風景が残り、天竜二俣駅構内には国の登録有形文化財に指定された「転車台」や「扇形車庫」が今でも現役で稼働。
映画の中では「しんじょはら(新所原=実在の駅名)」「転車台」「天竜浜名湖鉄道(エンディングクレジット)」などのキーワードが登場し、間違いなくこの場所だと特定できます。
映画公開を受けて天浜線では昨年末より、「エヴァンゲリオン」のラッピング列車を走らせていて、短期の予定だったものの好評のため現在も使用中、今でもエヴァ号に乗ることができます。
これまで浜松市が舞台となったアニメたち
今回聖地認定されたアニメ以外にも、浜松市が舞台となったものがいくつかあります。
『苺ましまろ』
作者は浜松市出身「ばらスィー」。
『月刊コミック電撃大王』で2001年から連載中、2005年にはテレビアニメ放送され、同年8月にはゲーム化。
浜松市の実在の建物・風景(JR浜松駅、佐鳴湖など)がよく描かれ、お祭りなどの地域行事もネタに取り入れられています。
(原作中の地名表記等から登場人物は浜松市中区に居住の設定)
アニメ化当時、ファンが「聖地巡礼」と称して現地を訪れて問題となり、電撃大王2006年3月号誌上で「このような行為は控えていただきたく」との告知が出されたほど(私はその騒動は知りませんでしたが)。
2011年には期間限定で、スタータクシーがキャラクターを車体に描いた「萌えタク」の運行と作中の舞台を回る観光ツアーを行い、当時はちょくちょく「萌えタク」を見かけることがありました。
『ガヴリールドロップアウト』
こちらも浜松市出身の「うかみ」が『コミック電撃だいおうじ』に2013年より連載中。
2017年にはTVアニメ化。
アニメのオープニングでいきなり浜名湖上空からの遠景が映ったことで話題となったそう。
浜松駅北口近辺や市立図書館、浜名湖弁天島(作中では「舞天島」)の光景が描かれていて、浜松市も作品の反響を受けて舞台地のマップ制作やポスターの掲出などを行っています。
『planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜』
静岡市(清水)出身の涼元悠一が企画・シナリオ担当。
2016年になってウェブ配信&劇場版という形でアニメが制作されましたが、もともとは2004年発売のコンピューターゲーム。
浜松がモデルで、アニメでは街の様子が詳細に描かれています。
崩壊後の廃墟となった街という設定で、市内の中心部が極めて忠実に描かれ、特にかつてあった浜松の老舗名門デパート松菱百貨店(作中では「花菱」)は、作中最大の舞台であるプラネタリウムのある場所としてクローズアップされています。
今はなき松菱百貨店が出てくるなど市民の郷愁を誘い、まさに浜松の街を実感できる作品です。
浜松に魅せられ浜松市が舞台となった『焼いてるふたり』
「週刊モーニング」に2020年9月から連載の始まった『焼いてるふたり』。
マッチングアプリで出会った健太と千尋が、健太の浜松転勤をきっかけに交際ゼロ日で結婚、浜松と東京の遠距離婚を楽しみつつ毎週末のBBQでじっくり仲を深め、二人で浜松に移住していく、というストーリー。
私はてっきり作者の「ハナツカシオリ」さんは浜松市出身(もしくは居住経験者)だと思っていたら縁もゆかりもないらしい。
それがなぜ浜松市舞台の漫画を描くのか不思議に思っていたら、昨年6月に鈴木康友市長が市長コラムで触れられていました。
市長のコラムによると;
“週刊モーニングの市村副編集長が浜松の友人を何度か訪ねているうちに浜松に魅せられ、「浜松を舞台にした作品をつくろう」と漫画家の「ハナツカシオリ」さんとコンビを組んでスタート”
“市村副編集長はテレビで「浜松は海や山がすごく近く、東京からの距離もちょうどいい。住んだら楽しくやっていけるだろうなといつも思う」と浜松の魅力について答えている”
“確かに浜松は、街の中心から15分で太平洋や天竜川、20~30分で浜名湖、山には1時間程度と、あらゆる自然が街に近接。ふだん私たちが「当たり前」と思っていた環境が、外から見るととても魅力的に見えているということに気付かされた“
そしてコロナで東京一極集中が崩れ、地方移住が始まり、浜松も移住者受け入れに取り組んでいく、と締めています。
こうやって外から浜松を気にいってくれる方たちが出てくるのは市民として単純に嬉しいことですし、移住者増ともなれば人口減少が懸念される中で有難い話。
また地元ではない人の視点で『焼いてるふたり』が浜松をどう描くのかも興味深い、そんな作品です。
まとめ
漫画・アニメはかつては「子どもが一度は熱中するもの」でしたが、その影響力はどんどん大きくなり、今や大人も楽しめる巨大エンターテインメント産業となりました。
浜松市も多くの漫画・アニメの舞台となり、これを好機ととらえて地域の魅力発信に活用しようとしています。
企業(鉄道会社、タクシー会社など)も、このムーブメントを活かそうと、コラボイベントなどの積極的な取り組みをするようになってきました。
漫画・アニメが地域起こしの重要なツールとなる時代になってきたようです。
漫画・アニメを通じて浜松市がより活気づいてくれると嬉しいですね。
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