浜松市の行政区が７区から３区に再編されることにより、新区名の選定作業が続けられています。
市民からの公募も実施、市民から挙げられた区名候補はたいへんまともだったと思いますが、これを受けての浜松市側の選定作業はやや迷走している感もあります。
これまでの経緯を振り返りながら、新区名案について考えたいと思います。
浜松市「平成の大合併」と政令指定都市化で「区」が生まれる
政府主導の「平成の大合併」に乗っかる形で、旧・浜松市、浜北市、天竜市、そして9つの町村の合計12市町村が合併し、新しい浜松市が誕生したのは2005年年7月1日。
さらに合併から1年9か月後の平成19年4月には政令指定都市に移行、初めて7つの「区」（中、東、西、南、北、浜北、天竜）が制定され、それに伴う区役所設置、区の名称の決定など、市制施行後で最大の変化を経験しました。
（私たちにとっても住所が変わり手続きが色々と面倒でした）
今度は７区から３区へ浜松市「区再編」
しかしその後の人口減少や少子高齢化などで社会・経済状況が変わり、さらなる行政の最適化と効率化を目的として区再編が行われることとなりました。
区再編案については昨年来、２区案、３区案や区割りの仕方が議論・検討されてきましたが、今年の５月に市議会特別委員会にて現行３区案に決定、２０２４年１月１日から施行されることとなりました。
この３区案では中区、東区、西区、南区、そして北区の三方原地区を合わせて一つの区とし、北区の三方原地区以外のエリアと浜北区を合わせてもう一つの区、そしてエリアの変更のない天竜区という形に落ち着きました。
浜松市の新区名公募で候補案集まる
３区への行政区変更に伴い、区域がこれまでから変更とならない天竜区以外の仮称Ａ、Ｂの２区を対象に、今年７月２６日から１カ月間にわたって新区名の公募が行われてきました。
「区の一体感や協調性に配慮して選定する」との方針（まあ、当たり前の話ですね）で、「特定地区を想起させない」「区域外を想起させない」「固有名詞を使わない」など６条件を設け、いずれかに抵触する案は除外することとして選定作業が進められました。
結果、Ａ区に１万１８３８件（２３１５案）、Ｂ区に１万１６９１件（２４００案）が寄せられました。
応募数上位３案はＡ区が中央区（１２０６件）、遠州区（１１０５件）、家康区（４９４件）。
Ｂ区は浜名区（１２５８件）、緑区（９１１件）、北浜区（６６１件）。
一浜松市民としては「至極まっとうな、あるいは想定範囲の区名が上位に来たな！」という感じを持ちましたが、その中で除外されるものがあることに違和感を持ちました。
ちなみに「みかん区」「うなぎ区」「ギョウザ区」などと、受けを狙った提案もあったようです（これも想定内ですね！）。
浜松市が選抜した新区名候補に大きな疑問
９月５日の浜松市議会特別委員会で、「市民公募の上位で条件を満たした各５案」として、市がA、Bそれぞれの区で最終候補となる５区をそれぞれ選抜しました。（表）
この５案を見て私は本当に驚きました！
まるで現実世界に生きていない、どこかのお花畑にでもいるかの様なチョイス、「どうしちゃったの？浜松市の担当者！」「何が起きたの？浜松市の責任者！」と正直開いた口が塞がりませんでした。
特に私の住むA区の場合には、なんと応募数上位１８位までが全て外されたのです。
（B区でも上位候補が外れましたが、２位、５位が残るなどこちらは少しまとも）
敢えてそうしてまで選んだ５案の区名候補が、何か気の利いた、何か説得力のあるものなら私も納得できましたが、市が選出したものには大きなクエスチョンマークを付けざるを得ませんでした（画数の多い漢字が多いのも気にいらない。新しい区名は易しい漢字にすべき）。
市の選んだA区５案に対して私が抱いた率直な感想は以下の通り！
奏（かなで） 音楽の町で楽器を奏でるから？それなら特定の産業を表してるよね？区名っぽくもない。
灘（なだ） 遠州灘から？どうしても兵庫の灘（酒の産地、灘高校の灘）を連想してしまうけどいいの？
曳馬野（ひくまの） 特定の地域を連想させてはいけないと中央区を外しておいて、歴史的に浜松市の一部地域だった曳馬の名前はOK？そのロジックはまったく理解できない。
渚（なぎさ） もちろん浜松にも渚はあるし渚園もあるが、それで浜松市の区名になっちゃうの？南国のどこかだったらぴったり来るかも知れないが…。
青（あお） 完全に私の想像力を超えるチョイス。海は青いし空も青いけど…。どうしちゃったの？
ちなみにB区については緑（公募でも２位）や青葉など、まだまともな候補は上がっている印象。
でも万葉区って、奈良かどこか？
浜松市新区名、応募上位は除外で非難、追加になった区名候補
区名が市民に公募されたものの、Ａ区についてはなんと応募数の上位１８位まで全てが外された初期の選抜！
特別委の委員からも「市民の意見を尊重したと言えるのか？」などと疑問を呈する見方が相次いだそうですし（まともな人もいてホッとしました）、当然報道後には市民からも非難の声が多く上がりました。
当初市の担当者は「特別委の指摘を含めて審議会に諮る。過程をオープンにして説明に努める」（つまり５案メインで行きたいということ）などと答えていたそうです。
しかし非難の声が大きかったことを受けて、結局９月８日の市行政区画等審議会で、市民公募で選んだ中で除外していた応募数上位の中から２案を追加することとなったそうです。
それがA区では中央区（投票１位）、遠州区（同２位）、B区では浜名区（投票１位）、北浜区（同３位）と、いずれも市民が知恵を絞った上位候補の復活でした。
浜松市新区名、まともな区名に落ち着くか？
紆余曲折の後に追加された２案はどこをどう見てもまともで（最も多くの市民が投票していた訳で当然ですが）、私から見てもこの地域を表わすのに妥当な区名だと思います。
この２案と当初の５案、合計各区７案を市民に示し、アンケートを実施するなどして新区名を決定していくとのことですが、投票上位の中から選ばれてくれればいいなと思っています。
しかし浜松市がどうして例の５案を選んだのか、ぜひ一度内幕を聞いてみたいものですね。
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