こんにちは、大相撲9月場所に久々に大興奮したカービーです。
相撲界で超マイナー勢力の我が静岡県、熱海市出身21歳の熱海富士がなんと最後まで優勝争い!
惜しくも準優勝とはなりましたが、連日満員御礼の今場所を最も盛り上げた熱海富士。
角界の重鎮からの評価も高く、大きな身体と愛嬌あるかわいい笑顔から人気は急騰中。
日本相撲界の星、静岡県勢初の横綱を狙う熱海富士についてお伝えします。
静岡県勢は大相撲では超マイナー
横綱が生まれていない静岡県
相撲の強い地域には冬の寒さが厳しい所のイメージがあります。
厳しい環境の中で、ハングリー精神で鍛え上げられて強い力士が生まれてくる。
私の一推しだった北の湖(不愛想だがプロの仕事人という感じで好きだった)も、二番推しの千代の富士も北海道出身。
実際に北海道は昭和の大横綱大鵬を始め、都道府県別で最多の8人もの横綱を輩出しています。
次いで2位にやはり厳冬の青森県から6人。
その後に4人で宮城、茨城、千葉、東京、鹿児島と続きます。
残念ながら我が静岡県からはこれまで横綱は生まれていません。
静岡県勢は優勝も未経験
優勝回数でも北海道が120回と圧勝。
続いてモンゴル(!)が96回、東京が48回と続きます。
静岡県出身者の優勝はありません。
(優勝者が出ていないのは11県)
温暖な気候でおっとりした性格の静岡県民には戦闘系のスポーツは向かないのか?と勝手に思い込んできた私。
いずれにしても過去において、相撲の世界で静岡県は全国的な注目を浴びることの無いマイナー地域でした。
静岡出身の大相撲の出世頭は?
それでも静岡から大相撲に挑戦してきた人たちは多く存在します。
その中で幕内上位の三役まで辿り着いたのは僅かに2人のみ。
出世頭は関脇まで行った天竜三郎。
我が浜松市出身で、四股名は地元を流れる天竜川から取ったのでしょう。
彼が幕内力士として活躍したのは90年以上も前の昭和3年~7年のこと。
もう一人の三役力士、小結まで上がったのが和田ヶ原甚四郎(わだがはらじんしろう)。
こちらはもっと遡って江戸時代のこと(幕内在位1791年―1799年)。
つまりはこの90年もの間、静岡県からは横綱・大関どころか、関脇・小結も生まれてこなかった訳です。
9月場所には静岡出身の幕内が二人
2023年9月場所は二人の県勢が幕内に並びました。
翠富士が前頭9枚目、熱海富士は前頭十五枚目と幕内下位ですが、過去を考えると静岡出身力士が二人も居るというだけでも上出来。
いつもの様に二人の活躍を祈りながらも、期待したのは何とか勝ち越してくれること。
(なにしろそれ以上の成功体験がない)
ところがその後ろ向きの見立てを見事に裏切って、熱海富士が快進撃を見せてくれました。
熱海富士の生い立ちと角界入り
生い立ち
熱海富士朔太郎(あたみふじさくたろう)は、2002年9月3日生まれの静岡県熱海市出身。
身長186cm、体重181kg。
伊勢濱部屋所属で本名は武井朔太郎。
(詩人の萩原朔太郎から取ったそう、良い名前ですね)
母子家庭で妹を含めた3人家族で育ちます。
小学校6年の時に三島市の相撲クラブで相撲を始め、当初は柔道でも活躍。
日大三島中学校では柔道部に入っていたが、2年生から相撲に専念し熱海市立熱海中学校に転校。
沼津市の飛龍高校では1年生の時から強豪相撲部の中心選手として活躍。
「家族のために稼ぐ」ことを目指し、高校卒業後に相撲界入りを果たします。
妹の武井陽奈さんは相撲部主将
ちなみに熱海富士の妹の武井陽奈さんは現在、飛龍高校の相撲部(男女合同の部)の主将!
全国優勝を狙う強豪チームを女性主将が引っ張る珍しい形ですが、妹さんのリーダーシップは監督も認めるところ。
陽奈さんも相撲世界大会の優勝を狙う逸材で、各種メディアに取り上げられています。
お母さんも女手一つで立派な子供たちを育て上げました。
熱海富士のスピード出世
熱海富士は2020年11月場所に初土俵。
初場所から連続で勝ち越しを果たし、序ノ口優勝、序二段優勝を経て2022年3月場所で新十両に昇進、晴れて一人前の力士 “関取”となります。
わずか8場所での十両昇進は元大関・小錦、把瑠都と並ぶ歴代7位のスピード出世。
さらに勢いは衰えず順調に勝ち星を重ね、2022年11月場所で遂に新入幕を果たします。
しかしここでは先輩達の厚い壁に突き返されて4勝11敗と大きく負け越し、一旦十両へ陥落。
そこからまた盛り返し、2023年5月場所で十両準優勝、7月場所で初の十両優勝を飾り、今回の9月場所で再入幕となった訳です。
熱海富士9月場所での快進撃
再入幕の熱海富士は初日からいきなり6連勝と好スタート。
7日目に敗れたものの再び連勝を続け、11日目まで1敗と素晴らしい星取りで優勝争いを展開。
12日目は大関貴景勝に敗れて2敗目、13日目は関脇大栄翔を下して連敗を止め、14日目は平幕高安を破って単独トップに躍り出ます。
初優勝にはあと1勝というところでしたが、本割では大関経験者の朝乃山に敗れ優勝決定戦へ。
ここで大関貴景勝に敗れたものの(貴景勝が立ち合いに変化して物議を醸す)、最終的には11勝4敗で敢闘賞を受賞しました。
終盤の上位陣との対戦でもしっかり力が発揮できたところは特筆もの。
熱海富士の健闘ぶりに佐渡ヶ嶽審判部長も「ここまで一番若手で頑張ってきた。成長している」と高い評価をされています。
みんな大好き熱海富士!
北の富士さんの熱海富士推し
元横綱北の富士さんの熱海富士好きは有名!
1年半前の中日スポーツのコラムで、まだ十両にも上がっていなかった熱海富士について語っています。
「今は熱海冨士に熱を上げている。
若くて元気のいいお相撲にすぐほれてしまう。
序ノ口優勝の時のインタビューを見て、一目で応援しようと決めました。
部屋なんかどこでもいい。
一生懸命に相撲を取り、勝てば喜び負ければ泣く、この多感な若い力士は今どんどん成長している。
先物買いもいいところだが、この力士は必ず大関・横綱になる男である。
その時まで生きていたいものだ。
あと5年生きていたら土俵入りが見られるだろう。
夢を見るような話だが、今の私には一番の励みになるのです。」
北の富士さんは長年NHKで淡々と鋭い辛口の解説をされていましたが、その口からこんな誉め言葉をこれまで聞いたことがありません。
「部屋なんかどこでもいい」
「必ず大関・横綱になる男」
「その時まで生きていたい」
「今の私には一番の励み」
まさにベタ褒め以外の何物でもないですよね。
そして何より北の富士さんの慧眼ぶり(熱海富士の素質を見抜く)に感嘆させられ、北の富士さんの凄さを素人目にも理解できた気がします。
今年81歳、この3月からNHKの解説の仕事もお休みしていますが、やはり伊達に横綱を張って訳ではなかった。
舞の海秀平さんも9月場所のNHK解説で;
「優勝は逃しましたけれど、北の富士さんの見る目は間違ってなかったですね。
見る目は確かでした。
以前から高く、熱海富士を評価してましたからね。
さすがですよ」
と話しています。
熱海富士の活躍で北の富士さんがまた元気に解説に戻ってきてくれると良いですね。
熱海富士の人気の理由
熱海富士には王道という言葉が似合います。
大柄でぽっちゃり型の伝統的な相撲体形で、得意の右四つ・左上手で正々堂々と勝負する。
まあるい顔で、勝つと細い目が隠れて見えなくなるほど顔をほころば、負ければ悔し涙を見せることもしばしば。
表情豊かに喜怒哀楽を表現する、
土俵を離れれば愛嬌たっぷりな姿に相撲ファンからは「初々しくてかわいい!」と愛される。
私が好きだった北の湖関の相撲の系譜ながら、クールで笑わなかった北の湖関とは違って表情豊かで、私も自然と応援に力が入ります。
母子家庭で育ったことから、自分で稼いで親に楽をさせてあげたい、と言う趣旨の発言もなにか昭和の香りがして好ましい。
花田さん(元横綱若乃花)もこの発言に対して「まだ21歳ですが、いい人生を送っているなと感じます」と発信しています。
好感度マックス、誰からも好かれる熱海富士関です!
熱海富士、目指せ令和の大横綱
有望な相撲力士が出てこなかった静岡県から彗星のごとく飛び出してきた21歳の大器、熱海富士。
相撲界の重鎮からは相撲への姿勢や正々堂々とした戦いぶりが高く評価される。
ファンからも元気の良い相撲、愛嬌のある表情や受け答えで人気高騰中。
元横綱、北の富士さんが将来の大関・横綱になるであろうと先物買いをした有望株。
9月場所は惜しくも優勝を逃したけれど、来場所以降も優勝争いに絡んで、相撲ファン、そして相撲界で肩身の狭い想いをしてきた静岡県民に夢を見させて欲しい。
目指せ相撲界の星、目指せ令和の大横綱!
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